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マジカル☆いい人ツアー!

Wed.18.Aug.2010 @Khartoum, Sudan

 「ジャパニー!しつこいわよ!!問答無用で明日また来なさい!さぁ、早くここから出て行きなさいっ!!」
 レジストオフィスのウガンダみたいな顔したエラそうなおばさんにブチ切れ&ケチョンケチョンに心を折られてしまい、うつむきフラフラと歩を進めるジャパニー。
 あぁ、こんだけ苦労してここまで辿り着いたのに、また明日も来るのかよ。。。暑いし、しかもタクシー代バカになんないし。。。はぁ。。。
 そんな見も心も限界の時に出会ったのが、かっしり体型で白いイスラームの男性衣装ガラベーヤ(丈のもの凄く長いTシャツみたいなもの)を着た、ゾマホン似の彼だった。同じくガラベーヤにプラスしてイスラーム帽を被り、スラリと背の高い相棒と二人、レジストオフィス出口で心配そうに話しかけてきた彼は、英語が少しできるようだったので、宿へ帰るタクシー代をセーブするため、ここから市街への公共バス乗り場等を聞いてみた。しばし周囲の人にも行き方を聞いてみた彼だが、どうやら乗り継ぎが複雑らしく「ジャパニー、オレが宿まで乗せてってやるよ!」と彼の車に乗せてくれることになった。
 おぉ、またしてもスーダン人のイイ人ぶり爆発だぁ〜。1時間に1回は起きるなぁ。そんなことを思いながら乗り込んだ彼の90年代に母国で活躍したであろう紺色の日産サニー(スーダンでは7,80年代の日本中古車から最新欧州車まで色々な車が走っているが、その中では比較的新しい部類の車。ちなみに韓国車割合がダントツに高い)。
 実はナイジェリア人でカルツーム在住である彼ら。大船に乗った気持ちで走り出した車であったが、これがマジカルいい人ツアーの始まりだった。。。


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 スーダンに入国した外国人は、3日以内にレジストレーションをしなければいけないという規則がある。エジプトから水路入国の場合は国境でできるのだが、僕の場合のエチオピアとの国境ではできず、ここカルツームですることになった。
 朝、宿のおっちゃんに「レジスト行ってきまーす」と告げ、全てのやる気をそがれるような暑さの中、事前情報で得た住所を頼りにほっつき回るが、それらしきものはどこにも見当たらない。
 ほとんど干からび、スルメのようになった2時間後、やっと見つけたそれらしき施設の警備員に「レジストここですか?」と聞いてみると、幸いにも英語が出来る人で、「おぉー、ゴメンヨ〜。レジストオフィスはここから引っ越しちゃったんだよねー。タクシーじゃないとちょっと遠いよ。」という答え。
 タクシー代セーブしようと、このクソ暑い中2時間歩き回って結局タクシーかよ。。。仕方がない。体力も限界近かったので、気持ちが折れる前にタクシーで行くことにする。

 レジストオフィスは警備員の言う通りかなり遠かった。しかし、これでやっと終わる!今日の仕事はキツかったー。などとレジスト前から既に終了モードになりながら、カウンター越しにパスポートを提示すると、ラマダンでダルそうなお兄ちゃんは顔を机の上に乗せたまま、チョイチョイと中には入れの手信号。んー、ここでも英語通じないかな。
 カウンターの奥にあるオフィスに入ると、そこには英語が出来るウガンダ似のおばちゃん(大ボス)とハリセンボンの痩せた方似のおばちゃん(中ボス)、それに綺麗なお姉さん(アシスタント)がいた。
 ウガンダがひとしきり僕のパスポートを見舐め回した後に、「ジャパニ−、レジストするには宿のレターが必要なの。それを持って明日また来なさい。以上。」と、シンプルかつ痛恨の一撃のようなお言葉。
 ・・・一瞬、いや3秒全ての動きが止まってしまった。レター!?はぁー!?宿のおっちゃん出発前にそんなこと一言も言わなかったぞ。
 「マダム、プリ〜ズ」もう一度こんな遠くまでくるのは御免だ。何とかならないかとウガンダに懇願してみる。綺麗なお姉さんも援護射撃を少しだけしてくれたが、ウガンダの前にハリセンボンでシャットアウトされてしまった。
 そして、、、「ジャパニー!しつこいわよ!!問答無用で明日また来なさい!さぁ、早くここから出て行きなさいっ!!」ウガンダは短気だったらしく、粘ろうとするジャパニーにすぐにブチ切れてしまった。ジャパニーの横にある綺麗なお姉さんの哀れみの瞳だけが唯一の救いだった。
 うつむきフラフラと歩を進めるジャパニー。あぁ、こんだけ苦労してここまで辿り着いたのにまた明日も来るのかよ。。。暑いし、しかもタクシー代バカになんないし。。。はぁ。。。


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 「ジャパニー、オレが宿まで乗せてってやるよ!ドコまで行くんだよ?」問いかけるゾマホンに宿の近くでランドマークになりそうな「UNスクエアー」「ジャーミー・アルカビール(アルカビールモスク)」(近くの有名そうなモスク)を告げ、それらが記された市中心部の地図を見せる。
 穴が開くくらい地図を覗き込むゾマホンの姿は、その一生懸命さが伝わる一方、”コイツ、本当に大丈夫かなぁ。。。”と不安にさせるものであったが、相棒と軽く何か話し合った後、「OK!オーケー!」と熱風を切り裂き軽快に走り出したゾマホンの紺色日産サニー。
 「コレでかいだろ〜、ショッピングセンターなんだぜ!」など、ゾマホンのちょっとした街紹介を交えながら飛ばす日産サニーは、途中でカルツーム空港の横を通り抜けた。金網で仕切られた空港敷地内の片隅には、クラッシュしたかのように胴体が3つに別れ、無残にもそのまま放置されたジャンボジェット機が横たわっていた。かなりフォトジェニック!カメラを構えようとしたけど、軽快な日産サニーはすぐにそれを通り過ぎてしまった。まぁ仕方ないか。
 ・・・それにしても、、、来るとき空港なんて通りがかからなかったけど、、、大丈夫かなぁ。。。
 そんな不安は、しばらくすると現実のものとなってしまった。
 「着いたよ!ココだろ!!」鼻頭に汗を吹きながらも、自信満々に後部座席の僕に振り返ったゾマホン。彼の先には高く、どこまでも長く続くクリーム色の壁。そして、その壁の前には真っ白な車体横に黒字で”UN”とこれ見よがしにペイントされたランドクルーザーが数えられないほど駐車されていた。
 そう、僕の発した「UNスクエアー」の”UN”に反応したゾマホンは、カルツーム郊外にあるUN(ユナイテッド・ネイション<国連>)の駐屯地のような場所へと来たのだ。僕が差し出した市街地図は全く意味がなかったのだ。

 正直ドッと疲れが出てしまったことと、真実を伝えねばいけない気持ちで、ゾマホンには申し訳なかったが、「あっ、いや、ここじゃないんだ」ともう一度、地図と場所を伝えるが、ゾマホンと相棒の頭上にはくっきりと”?”が浮かんでいた。
 僕の言葉と、場所を間違えてしまった自分自身への羞恥心はなかった事のように、またもや一心不乱に地図を覗き込み相棒とゴニョゴニョ相談するゾマホンの姿であったが、そこに説得力はもう微塵もなかった。
 諦めたゾマホンは、道端で乗り合いバス待ちをしている紺のチノパンに白の半袖シャツ姿で肩掛けかばんを持ったおじさんに、地図を見せ道を聞きだした。
 その気持ちだけで十分だった僕は、通常以上にお金がかかってもいいから、ここからタクシーで帰ろうかと思った。これ以上ゾマホンが困るのが申し訳なかった。
 しかし、その3人目のおじさんは自信満々でゾマホンに道を教えている。ゾマホンもそれがよほど頼もしかったようで、おじさんに一緒に乗っていくよう頼み、なんと、おじさんも二つ返事でそれを了承したのだ。多分行き先が同じような方向だったのかもしれないが、なんという軽いノリ!逆ヒッチか。
 しかし、おじさんの自信満々オーラは僕の不安も一気に拭い去ってくれた。
 こうして新たな戦士を加えた日産サニーは自信を取り戻したエンジン音と共に再出発した。


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 安心感の塊となった日産サニーは、助手席に陣取ったおじさんの指示通りに車輪を廻していった。ゾマホンと相棒は、まるで以前からの親友だったようにおじさんと談笑している。スーダンでこういう場面を日常のように目にしたり、見知らぬ者の集合体が楽しくイフタールを共にしているところに加わっていると、友人や他人といった境界線がボヤけ、もっと大きなくくりの中での集合体、いや、くくりというものがない中で人間は生きているのだと感じる。

 周りの景色は見たことないが、街中に近づいているらしきことはなんとなく感じられた。そして、車はまたしても、どこまでも続くクリーム色の壁の前で停まった。おじさんが自信満々でナビした場所は、僕が期待した場所と違ったことは言うまでもない。
 先程より2割り増しで鼻頭に汗を吹きながら「ここが言っていた場所だろ!地図通りだろ!な、な、な!!」と、おじさんの後ろ盾を得て”汚名返上”の熱意を自信満々嬉々として伝えるゾマホンに「違うんだけど・・・」と僕は言い出すことが出来なかった。
 「あ、あ、ありがとう。こ、ココでいいよ!それじゃ!!」と、ぎこちなく心とはうらはらな言葉を発する僕。もうこれ以上ゾマホン達が落胆するのは嫌で申し訳ないのと、正直このままこのツアーに参加していても、宿に帰れる気がしなかった。だから、ここからタクシーで帰ろうと思った。
 そのぎこちない態度に納得のいかないゾマホンは、「何だよ!地図の場所はここだろ〜!ほら、一緒に見てやるから、ちょっとこいYO!」とエンジンも掛けっ放し・鍵もかけずに車を降りて、その建物の入り口へと歩を進めていく。キーロックしないで大丈夫かと逆に気を遣ってしまうが、スーダンではそれでもいいらしく、他の2人もゾマホンに続いていく。

 頑丈なセキュリティードアと、鉄格子がはめられた80cm四方の受付窓口。その横に掲げられるは”UN HEADQUARTERS OFFICE”の金色表札。。。またしてもゾマホンはおじさんのナビのもと、国連関係施設に連れてきたのであった。
 受付窓口の奥でガンガンの冷房に当たるオフィサーからあっさりと「ここ違うよ」的なことを言われ、目を見開き”お”の口をするゾマホンと、”どうしよう顔”のおじさんに、表情をなくした相棒が顔を見合わせている。ソレを見つめながら頬をひきつらせる僕。いつか見た中東ドタバタコメディ映画の展開そのままになってしまった。。。
 ・・・「ゾマホン、もういいいよ。タクシーで帰るから・・・」彼らにも予定があるだろうに、こんなに時間をかけてもらって申し訳ない気持ちになった。しかしゾマホンは、僕のそんな言葉には耳を餃子のように閉ざし、鉄格子の受付窓口に地図をねじ込んで一生懸命オフィサーに場所を聞いている。なんかもう自分が納得いかないようだ。
 そして「あー!、ジャーミー・アルカビール!!(アルカビールモスクね!)」と叫んだ。。。あ、、いや、地図にも”UNスクエアー”のすぐ横にソレ書いてるし、一番初めにも言ったじゃん。。。心の中でつぶやきながらも、笑顔で顔を見合わせ、「何だよ、あそこかよ〜!」的なことを大声で話し合うゾマホンたちが堪らなく愛おしかった。


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 再出発して15分後。見覚えのある景色が見えてきた。やっと帰ることができたようだ。「そうそう、ここだよココー!!」僕が大げさに嬉しさを表現するとゾマホンはとても嬉しそうであり、助手席ドアミラー越しに見えるおじさんは、右肘をドアにかけたまましてやったり顔、後部座席で僕の隣に座る相棒は静かに外を眺めていた。

 「ついたぞーっ!!」4割り増しで鼻頭に汗を吹きながら、満面の笑みで振り返ったゾマホン。「ありがとーっ!」コチラも4割り増しで返す。
 さすがにと思い、お金を差し出す僕と、それを笑顔で制する相棒に、いいからいいからと優しい目で合図する助手席のおじさん。ゾマホンも表情そのまま首を横に振っている。
 目的達成でそっちの気持ちが治まっても、こっちの気持ちが・・・。まぁいいや、ココは最後まで彼らに乗っかろう!財布にお金をしまい、何度もありがとうを伝え、数時間を過ごした日産サニーを降りる。

 何かをやり遂げたゾマホンの笑顔と共に、雲ひとつない炎天下の中、軽快に走り去る日産サニーの後姿に手を振る。僕は反対方向に振り返り、彼ら同様軽快に行き交う車の間を縫って道路を渡る。
 スゲー時間かかって、遠回りして、疲れたけど、心に水と元気をもらった感じ。またまたスーダン人(ゾマホンはナイジェリアだけど)のいい人ぶりを見せつけられたツアーだった。
 「サラーム!」いつもと同じく、目のあった人と挨拶を交わしながら、自然に笑顔で宿へと向かう。僕の鼻頭に2割り増しで吹いた汗は拭きとらずに、歩き続けた。


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追伸

 翌日、タクシーに乗ってレジストに行くと、レジスト方法について少し知っているタクシー運転手さんは「こいつは日本人でアラビア語解らないからオレが一緒にって手伝ってやるんだっ!」とオフィス入り口のセキュリーティ係員に詰め寄るも、関係者以外ということで見事撃沈。残念そうな目でオフィスへと入っていく僕を見送るのであった。(運転手さん英語はあまり喋れないくせに、どうやって僕を手伝うつもりだったのだろうか。。。)
 1時間後、無事にレジストが終わっておじさんの元に戻ると、それはそれは自分事のようにとても喜んでくれた。こうなると、もう親切とかいい人とかいうレベルを超越しているような気がしてくる。
 また、宿泊先の宿には、つい最近日本に行ったというスーダン人男性がいた。彼元来の優しさに加え、「日本での時間は最高だった。とにかく出会う日本人がみんな親切で、感動したよ!日本人は世界一いい人だ!君は日本人であることを誇りに思うべきだね、絶対に!」と、その時に受けた親切心を返すかのように僕を気遣い、色々と世話してくれた。
 世界一いい人なスーダン人に「日本人はいい人だ!」なんて褒められると、とても嬉しくなる。
 人の気持ちを考え、人を気遣うこと。人として当たり前のことだけど、なかなかそうできない時もある。だけど、ここで受けた優しさや親切は、この先出会う人々に返していかなければ。優しさの輪廻を紡いでいこうと思う。

| Sudan | 19:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
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