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西蔵線を突破せよ! day3
 Wed.20.June.2007

 3日目が始まった。微妙に上半身がリクライニングしたベッドの上で2日も動かずにいると、さすがに腰が痛い。これもあと一日の辛抱だ。
 チベタンはあまり体を洗うといういうことをしないらしい。だから、車内はかなりイイ感じの匂いがたちこめている。なんだかなぁーなんて思っていたが、自分の体もワキを中心に連日の冷や汗もあってか、負けず劣らずスメリーになっている。
 何だかねぇ・・・これも明日の朝までだ。。


 夜明け前。今日を乗り越え明日の朝には・・・


 昨日と打って変わって朝から天気がすぐれない。雨なんかも降ってくる。雨にあたるのが嫌だからと公安が外に出てこなければいいのに。。

 朝靄の中に浮かぶ雪を頂いた柔らかい竹の子のような紺色の山の中腹には、苔のように針葉樹や腰の柔らかそうな木が点在し、その麓ではヤクが草を食む。何だか想像していた中国の風景をこの車窓からやっと見ることが出来た気がした。
 しかしそんな景色も、ボーっと眺めているといつの間にかそこが北海道の層雲峡のような道であったり、故郷に近い知床の風景であったりと、記憶の中の表情へと変化していく。

 朝7時30分、今日最初の検問だ。毛布にくるまり息を潜める。後何度、掌に汗をかけばいいのか....もう少し、もう少し・・・何かにつけそう言い聞かせる。




 順調に検問を突破していく。あと4つだ。
 しかし、渓谷にかかる大橋にさしかかった時、バスは停止し乗客が降りていく。
 え?降りるの?
 そこでは全員歩いて橋を渡ることになっていた。もちろん橋の両端には公安が目を光らせている。
 どうしよう・・・とは言っても、降りるしかない。車掌は降りろとせかしている。
 おっさんの後ろの青年は何も感じずにぐっすりと眠っている。何事においても無の境地というのは、えてして上手くいくものだ。車掌も彼には気付いていない。このまま放っておいたほうがいいだろう。
 覚悟を決めバスから降りる。橋の入り口には仁王立ちを決め込む公安がいる。ゆっくりと前進するバスの陰に隠れながら上手くやり過ごす。よし、後はこの橋を渡りきれば・・・そう思い、ガンダムをパクった時のアムロのように、うつむきトボトボと歩いていく。
 あと20m。もう少しだ。そう自分を励ました橋の中ほど、なんと向こう岸から公安が歩いてくるではないか....絶体絶命。。!!
 マ、マジかよ....。とてつもなくドキドキして目線は定まらない。
 もうこんなところまで来て追い返されるのは嫌だ!
 どういう態度をとればいいのか?
 もちろん自然体で堂々としていればいいのだろうけど、そんな余裕なんてない。
 とにかく真っ直ぐ歩を進めることに努めるだけだ。
 そうだ、こういう時の為にヨレヨレジャケットとオヤジポロシャツを着てるんじゃないか...!!
 ジロリと見られている、それは現実か妄想か。
 ポケットの中の手はじっとりと汗をかきワキからはスメルなものが立ち登ってくる。
 何かが沸点を越える瞬間。擦れ違いはまるで最終回のリカとカンチのように・・・なんて劇的なことは....なかった。嬉しいことにただ擦れ違うだけであった。
 早くバスに戻って水が飲みたい。。。

 3つ、2つと順調に検問を突破していく。
 いよいよ最後の検問だ...!油断は禁物だが自然とニヤけてくる。

 もう何度このポジションをとっただろう、すっかり板についた毛布の中の体勢でジッと息を潜める。
 ドライバーと公安が何かやり取りをしている。最後までこの時間に慣れる事は、ない。
 ほどなくしてエンジンを吹かす音とともにゆっくりと景色が流れ出す。街明かりは遠くへと逃げていき、バスは何事もなかったかのように暗闇へと消えていく。
 終わった?終わったの?ついに突破したの??
 安堵の後にこみ上げてくる何ともいえない感情。ニヤニヤとし、やがてケタケタと一人毛布の中で笑い出す。今までとは違う汗をかきながら。。

 毛布から顔を出し真っ暗闇に向き合う。
 西の空に浮かぶ月の周りには白と紺の絶妙のコントラストで浮かぶ雲。黒く存在感のある稜線は何処までも続き、麓に開けた平野を流れる緩やかな川はバスに平行し、いつまでもキラキラと月明かりを反射させている。3日間ドキドキしてきた過ぎ去りし東の空には月から逃れた星々が限りなく散りばめられている。
 この道中、ヨーロッパにカフカス、インドにネパール、日本・・・今まで通ってきた世界各地の風景と、そこにまつわる様々なエピソードが重ねられた。そんな色々なものを詰め込んだバスは加速度を増し、東の星々を引き連れひたすらに西へと突き進む。
 目指す空に浮かぶは、三日月にも半月にもならないなんとも中途半端な、まるで自分のような月。しかし、そんな月が演出する限りなく美しい夜の世界にニヤニヤもケタケタも忘れ、何か心地よいものに満たされた気分で何時までも何処までも見惚れてしまう。本当に何時までも何処までも。。
 月が眠る頃にはついに約束の地、ラサだ。
| Tibet | 19:21 | comments(1) | trackbacks(0) |
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コメント
ドキがムネムネする旅っていういのは
まさにこのことだね。

ハノイでの再会が楽しみでありやす。
| 運び屋@名古屋 | 2007/07/05 10:15 PM |
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