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浮かぶ空
 Sun.5.Nov.2006

 8代目エマーム・レザーが眠るイラン人にっとって非常に重要な聖地マシュハド。広大なエンゲラーブ広場は各地からの巡礼者でごった返していた。
 建物内にあるエマーム・レザーの聖墓は眩いばかりに輝き、その周りにはそこに触れようと狂信的に群がる人々の壁。
 同行してくれていたイラン人ヴァヒドも「すごく混んでるし危険だから遠くから見るだけほうがいいよ」という。
 「自らが信じ拠りどころとするものとは・・・」そんな思いを巡らせながら聖墓を遠くから眺めていた。

 広場にて行きかう人々の中に身を置く。そこには忙しい日々、苦労を乗り越えてここを訪れ、聖墓と共になれたことへの充実感が漂っていた。
 一度は眺めるだけで通り過ぎた聖墓、しかし、彼らがどんな想いでそれに触れ、何を感じようとしているのか少しでも知り、感じてみたい。自分自身そこへいけば何かを感じられるのではないか。
 「僕はモスリムじゃないけど、あの場所に行ってみたい」そうヴァヒドに告げその人壁の向こう側へと歩を進めていった。

 群がる人々に踏まれそうになりながらも、ひざまずき祈りを捧げる人、友の棺を担ぐ人。更なる人壁とその向こうにある聖墓。2メートル手前とは全く違う熱気、ほんの2,3歩の差なのに明確なまでに異質な空気。
 熱気、情熱、息づかい、泣き叫び感極まる人々・・・辿りつくべき「何か」がすぐそこにある時に人々が発するパワーとはこれ程までに強いものなのか。

 そのパワーがあらゆる方向から発せられ、ぶつかり合いせめぎあうことで混沌とした空間を作り出している。しかし一方で、そのパワーが向かう先はエマーム・レザーの聖墓一点。
 一見混沌としているようで、その実、全てのパワーが一点に向けられている不思議な空間の中に漂う人々。

 人々の波に押され流されどうしても聖墓に届かない。目の前では圧死してしまうのではないかというくらいに四方から潰されている人(しかし、彼の手は聖墓の柵を掴んで絶対に離さないでいる)、上空では聖墓に触れ終わった子供がバケツリレーのようにこの空間から救出されていく。
 あともう少し、あと数センチがとてつもなく遠く、目一杯手を伸ばすがどうしても届かない。すると目の前の男性が、自分も必死に柵につかまりながらも、何とかそこに届くように僕の手を取り引っ張ってくれる。僕もそれに答えるようと限界以上に手を伸ばす。彼の「何とかしてあげよう」という気持ちが伝わってくる。
 
ふいにサッと前方に空いた数センチの隙間、体をねじ込み僕の右手が柵をつかまえる。
 その一瞬の静寂。何も聞こえず、何も感じない。自分だけ、立っている場所だけが周りの世界から切り離され、スーっと体中に何か特別なことをやり遂げたような達成感や充実感のようなもの、なんともいえない感覚が広がっていく。



 自分はただの石と同じように貴方の御前では無力な存在です。
そう神へ示すため、額を直接地面につけるのではなく、この石の上につける。


 僕は決してモスリムではないし、この聖墓に触れたことでイスラム世界の聖なる心境を感じることができたとは思わない。だけど、自らの人生を形成し信ずるものの大切な部分に触れようと、様々なことを乗り越え遠い地よりやっとの思いで辿り着いた場所、そこで彼らが抱くであろう特別な感情・・・・そのほんの少しは感じることができたのではないだろうか。
 人々の発するパワーとその空間、そしてそれを包み込む美しく優しい建築。本当にすごい場所にきたと思う。
| Iran | 00:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
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