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バスとラクダとやわらかな気持ち

Tue.17.Aug.2010 @way to Khartoum, Sudan

 早朝にエチオピアのゴンダールを出発し、乗り合いバスでスーダン国境へ。
 15時。イミグレーションも特に問題なくパスし、無事スーダンへの入国を果たす。ついにやってきた「世界一いい人!」というウワサの国スーダン。そして、目指すエジプトはいよいよすぐ隣だ。

 楽しみにしていた国とはいえ、入国しただけでは満足できない。今はどこまでも先へ進みたい。前のめりな気持ちそのままに、何とか今日中に首都カルツームまで行ってしまいたいのだが、困ったことにここでは英語が殆ど通じない。とりあえず「カルトゥーム」と語尾で口を尖らせながら、出会う人々が指し示す指先に身を委ねていると、あれよあれよと言う間に乗り合いバスにトゥクトゥク、さらにはピックアップトラックと幾つもの交通機関を乗り継ぎ、近郊の大きな町ガダレフで待機するカルツーム行き大型バスまで辿り着くことができた。
 どの人も会話で意思疎通が出来たわけではないが、ボッてきたり何かを要求する素振りは微塵もなく、しごく自然に、淀みなくここまで導いてくれた。
 今まで少なくない国を歩いてきたが、人の指先に乗っかってこんなにスムーズに幾つも乗り継ぎができたのは初めての体験だ。何なんだ、この数時間前までいた国との差は。期待していた以上の楽しみがこの国では待っていそうだ。

 日が傾きかけた頃、カルツーム行きバスは程良い緊張感と期待感、そして、入国して数時間の間に受けた沢山の優しさによって作られた僕のやわらかな気持ちを乗せて走り出した。
 出発して1時間後の19時。街からは遠ざかり、ちょっとした山と草原以外まわりに何もない1本道沿いに建つガソリンスタンドの前で、バスは突然停まった。



 今はイスラム暦で第9月のラマダン期間(日の出から日没まで飲食をしない断食)。
 バスは日没後の食事イフタール(ラマダン明けの食事)のために停まった。どこからか食事が施され、それをみんなで食べる。異教徒の僕にも一緒に食べろと当然のように座らされ、色々と気遣ってくれる。



 そして、祈る。

  ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 祈りの後、バスは再出発。空はすっかりと暗闇と厚い雲に覆われ、街灯のない幹線道路にはバスのヘッドライトしかない。
 そのうち音を忘れた雷が激しく光だけを発しだすが、空を厚く覆った雲がさながら間接照明のような効果をもたらし、暗闇のち一瞬だけ、やわらかさをもった空間を演出する。今日受けた優しさにとってもよく似た光だ。
 その一瞬のやわらかな光の中に見渡すは、遥か地平線までフラットな草原地帯。そして突然現れるは草を食む3頭のラクダ。ラクダ!?突然ラクダが現れるなんて今までない経験だ。その後は優しい光の中にラクダ見つけようと目を凝らしてしまう。
 ところが3回に1度、凝らしている目をしかめる強烈な閃光が轟音を伴い、雲を割って地上から天空への一本道を作る。それは何者かが僕らには到底手にする事の出来ない力を誇示する道具のようであり、また、どこかへ通じる一本の心細い白い糸、それに掴まることができれば一瞬にしてどこかへ吊るし上げて行ってくれそうな気にもなってしまうもの、にも見える。
 強烈な光の後は突然の豪雨がやってきた。忘れられていた雷音も毎回やってきた。遥か地平線まで続いていた緑の大地は、次に照らされたときにはその全てが大きな茶色い川に、一瞬にして劇的な変化をした。突然の豪雨で氾濫したのだろうか。その川から立ち上がる電信柱が、そこが通常大地であることを物語っている。
 草原にラクダに雷に大きな川。暗闇と光が交互に訪れながら魔法にかかったような変化をする不思議な風景はいつまでも飽きず、どこまでも僕を惹きつけていく。

 しばらくすると豪雨と轟音は過ぎ去ったが、雷は光り続けた。バスのほうが逃げ切ったのかも知れない。
 時々昼間かと思うくらいの明るさになり、そこに川はなく、再び豊かな緑が浮かび上がる。
 たまに現れる山や家。厚い雲の下、不連続に現れるそれらの風景に釘付けになりながらも、「晴れていたら星空がすごいんだろうな」とも思ってみる。こんな夜だ。それが現れても何の不思議もない。

 バスは再び停まってしまった。どうやらエンジントラブルのようだ。バスを降りて遠くに見える閃光を眺めながら背伸びをしていると、右手の方からジーっと見られている気配がする。何事かと思うと、他の乗客が日本人である僕にエンジントラブル解消を期待しているようであった。やんわりと笑顔で返す。そういえば、以前パキスタンでもこういうことがあったけ。
 ほどなくして再々出発。
 まだまだ続く真っ暗闇の中での不思議な風景。いきなり受けたスーダン人のいい人洗礼と相まって、すごく心が軽く、次は何が起こるのかと車窓とこの先への期待感が大きくなる。何だかいいことありそうだ。スーダンでの日々が楽しみだ。
 チベットはラサへと向かうバスでも同じような気分になったけど、あの時は期待通りだった。

 


 午前3時にカルツームに無事到着。
 他の乗客同様ここで雑魚寝して、朝を迎えてから宿探しだ。はやく朝のアザーンとともに動き出したい。とっても前のめりな気持ちだ。

| Sudan | 04:43 | comments(1) | trackbacks(0) |
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